アンティークシルバーの奥深さ!フランスの銀食器のホールマーク【刻印】について

アンティークシルバーを語るには外せないのが【ホールマーク】です!

(ホールマークとは銀食器に打刻されている【小さな刻印】のこと。)

特にイギリスのホールマーク制度は、非常に厳格で現在に至るまで700年も続いている品質保証制度となります。

英国イギリスのホールマークについてはこちらの記事をご覧ください

そしてヨーロッパの銀食器文化を語るのにイギリスと並び、外せないのが【仏蘭西フランス】の銀食器文化です。

クリストフル カルディヤックCARDEILHACの ナイフ

(私もフランスの【Christofleクリストフル】のカトラリーが大好きです!)

フランスのホールマーク文化もイギリスに次いで古く、

アンティークシルバーの真贋の見極めや品質保証としても役に立ちますので覚えておきましょう。

今回はフランスのアンティークシルバー 銀食器のホールマーク(刻印)についてご紹介していきます。

目次

フランスの銀食器 ホールマークの歴史

フランスのシルバーホールマークとえば「ミネルバ」刻印

フランスのホールマークの歴史は1275年にさかのぼります。

1275年 フランス国王フィリップ三世によって、銀製品へのホールマークの法律が制定されます。

当初はイギリスのホールマーク同様に製造された地域の刻印が義務づけられていました。

そして、1416年には「デートレター」(製造年が認識できる刻印)も義務づけられます。

しかし、フランスの銀文化は紆余曲折がございました。

17世紀~18世紀前半の国の財政難の際には国王の勅命にて銀が没収され、枯渇した国債の補填に使われました。

そして18世紀後半の「フランス革命」(1789~1799)の影響も大きく受けることになります。

その為、18世紀以前のフランスのアンティークシルバーは非常に希少となっています。

1798~ 金・銀 フランスのホールマーク

現在につながるフランスのホールマークの制度が確立し 1000単位での銀品位が再導入されたのは1797年となります。

フランスの銀食器 ホールマークの特徴

「ピュイフォルカ」メーカーマークと「ファーストミネルバ」マーク

フランスの【ホールマーク】はイギリスのように複数の刻印を使用することなく、

製造者(メーカー)」「銀品位」を表す2つの刻印で示される事が多いです。(銀品位の1個の刻印だけの場合も多い。)

フランスの銀食器、アンティークシルバーのホールマークは以下のような特徴があります。

銀品位(ファーストミネルバ950/1000)のみのホールマーク。

銀食器の銀品位は基本2つ

1838~1973 ミネルバ刻印 

フランスの銀器の特徴としして銀食器で使用される純銀の 銀品位は 基本2種類となります。

【フランスの銀品位】

  1. Premier プルミエ=ファースト:銀品位95.0% (950/1000)
  2. Deuxieme デゥズィエム=セカンド:銀品位80.0%(800/1000)
ファーストミネルバは枠が「八角」数字が「1」  セカンドミネルバは枠が「樽形」数字が「2」

 2種類の銀品位をホールマークで区別しているのがフランスの銀食器のホールマークの特徴です。

 1973年からは スターリングシルバー(銀品位92.5% 925/1000)が採用されるようになりました。

1973年~ファーストミネルバは銀品位92.5%に。

1973年以降のファーストミネルバには右下にアルファベットが入り、年代毎に打ち分けをされています。A(1973-1982)、B(1983-1992)、C(1993-2002)、D(2003-2013)、E(2014-) 

1つのホールマークの情報量が多い。

フランスのアンティークシルバーの【ホールマーク】はイギリスよりもマーク数が少ないです。(イギリスは4~5個のホールマーク)

代わりに、1つのホールマークで多くの情報を伝える為に、刻印の打ち分けに特徴があります。

①製造地の区別 「パリ」と「地方」で区別

1798~1809 左:パリ   右:州  数字の場所で区別。

1838年以前のミネルバ刻印になる前のホールマークは 「パリ」と「パリ以外の地方」によってマークが打ち分けされていました。

「パリは特別」というフランス人(パリっ子)気質が昔からあったのだろうと想像します。

②大型の銀食器用 と 小型 ジュエリー等 での打ち分け

1838~1962 小型のアクセサリーに使われたホールマーク 銀品位800/1000

フランスの銀器の特徴は 比較的大型の銀食器カトラリー と小さなアクセサリーでホールマークが打ち分けられていること。

1838年~1962年までも上の画像の【猪の頭】はパリ  【蟹(クラブ)】はパリ以外で使われました。(1962年以降は蟹に統一されました。

③「輸出」「輸入」銀食器 専用のホールマーク

1840~1973 輸出用に使用された マーキュリー 
1893以降 輸入用に使われた アリ

 ここまで分ける必要あるのか? という感じもしますが、「輸入」「輸出」のそれぞれでもホールマークが分かれています。

フランスは自国文化に誇りがあり、自国 他国との区別をつけたい国民性がそうさせるのでしょうか。

シルバープレートのホールマーク

「ピュイフォルカ」シルバープレート製

 フランスではシルバープレート製の銀食器も厳格に管理されており、ホールマークの規格を定めて管理しています

「純銀」「シルバープレート」でのメーカーズマークの違い

【ピュイフォルカ】 左:シルバープレート 右:ファーストミネルバ(純銀)

フランスのホールマークの特徴の一つは メーカーズマークの枠の形の違いで純銀かシルバープレートが区別されていることです。

  • シルバープレート:枠が 正方形または長方形 
  • 純銀:枠が 菱形、ダイヤ型
【クリストフル】 左:シルバープレート  右:ファーストミネルバ(純銀)

シルバープレートと純銀では大きく価値が変わりますので、この違いは覚えておきましょう。

シルバープレートで使用した銀のグラム数を数字で刻印

「エルキューイ」100の数字

フランスの古いシルバープレート製のカトラリーセットには良くメーカーズマークともに数字が刻印されている物があります。

刻印された数字の意味は時代の変遷で変化していったようですが、

1860~1983年のシルバープレートでは 1ダースのカトラリーのコーティングで使用した銀のグラム数が刻印されました。

1ダースで使用した銀のg数を記載

シルバープレートといえど、フランスのアンティーク品は相応の価値があると言えるでしょう。

シルバープレートの厳格な品質規格

1983年~ メーカーズマークそしてシルバープレートの品質規定 

1983年7月1日にフランスは法律で銀食器のシルバープレートの品質基準を定め、またそれに伴うメーカーズマークの様式も定めています。

メイン部のシルバープレートの厚さは33ミクロン必要。

カトラリーとその他テーブル用品で細かく区分されて、各部位のシルバープレートの厚さの基準をクリアするようにメーカーに義務づけています。

フランスのシルバープレートは品質ランクⅠでは銀の厚さ33ミクロン以上が義務づけされております。   

クリストフルのシルバープレートは100年使える品質と言われています。

今日も【クリストフル】【エルキューイ】などの多くのフランスブランドは、シルバープレート製品も国際的な高い評価を受けています。

フランスが国を上げて銀製品の品質管理に力を入れているからなのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。フランスもヨーロッパの銀食器文化の中心として発展してきました。

独自の【ホールマーク】制度 また、今日も守られている銀品位 シルバープレートの厳格な基準があり、

代表的な【クリストフル】【エルキューイ】【ピュイフォルカ】など世界的に成功を収めたフランスメーカーが多いのも頷けますね。

フランスアンティークの「蚤の市」などのアンティークシルバーは良くオークションサイトでも流通しています。

ぜひフランスのアンティークシルバーも手に取ってみてはいかがでしょくか?

フライス アンティークシルバー ホールマークのハンドブックも貴重↓

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この記事を書いた人

yn1173のアバター yn1173 飲食店店長

海好き&ビール大好き、湘南在住20年。最近ビール腹に悩みながらも、毎週末は海でデトックスする中年サーファー。ゆったりスローライフとアンティークに囲まれた生活を夢見ながら、スローな情報発信をさせていただきます。ブログ開始2021年7月の超初心者。ゆったり読んでいただければ幸いです。
サーフィン歴16年。 最近アンティーク銀器にはまり仏蘭西の銀器「クリストフル」が憧れ。

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