銀食器を大切にしまっていて、久しぶりに使おうと思ったら、真っ黒!?
こんな経験はございませんか?
銀食器はなかなかお持ちでないかもしれませんが、シルバーのアクセサリ-や指輪などが、しばらく保管しておいたら黒く変色してしまった経験は結構あるのではと思います。
今回は、アクセサリーなどの小さな物ではなく、アンティーク銀器で良く見かけるティーセットなどの比較的大型の銀器のクリーニングについて、ご説明しようと思います。
一般的な銀の黒ずみのクリーニング方法
一般的な銀の黒ずみのクリーニング方法を調べてみると、、、
- アルミホイル +塩 +水 を鍋で煮沸
- アルミホイル +重曹 +お湯
- 歯磨き粉で磨く
- シルバークリーナー(液体)を使ったお手入れ
- シルバークロスを使ったお手入れ
大体インターネットでも検索すれば、上記の落とし方が説明されているかと思います。
ただし、アンティーク銀器においては ①塩を使った落とし方 ②重曹を使った落とし方 はほぼ使えません。私もおすすめしません。
そもそも大型の銀食器ですと、小さな物とはクリーニングの労力も違います。またアンティーク品では数十年の経年劣化による変色をしている場合もあり、なかなか綺麗にするのには手間もかかります。
今回は③~⑤を組み合わせて、いつも私が大型のアンティーク銀器に行っている黒ずみの落とし方を説明しますね。
ヴィンテージ品 大型 銀食器の黒ずみのクリーニング方法
今回はこちらの ティーセットを綺麗にいていきたいと思います。おそらく10数年~以上は保管されていたままの、シルバープレート製(銀鍍金)の製品です。メーカーは米国の大手銀器ブランド「INTERNATIONAL SILVER COMPANY」の未使用の品です。
INTERNATIONAL SILVER COMPANY:インターナショナルシルバーカンパニー社は、1898年に多くのシルバーウェアーのメーカーが合併して誕生した米国の銀器ブランドです。 その後何十もの企業を買収していき、 1940年代には30種類以上のシルバーウェアのパターンが作られました。 シルバーメーカーを語る上で外すことのできないメーカーの一つです。
シルバークリーナーを塗布する。
まずは前洗いで銀食器の汚れ等を水で良く流し十分にすすいでから、こちらのシルバークリーナーを塗布していきます。225ccと容量がありますので、大型銀食器のクリーニングに適したサイズです。
大型なので浸漬させることはできませんので、私は歯ブラシを使って塗布しうていきます。歯ブラシならば、細かい装飾部分にもうまく塗布することができます。
このシルバークリーナーは銀の「硫化」による変色を化学反応させるため、酸性の成分(硫酸)が配合されており、使用上の注意点がいくつかあるので必ず注意してください。
- 硫黄のような独特の臭いがします。家族には文句言われないように換気し作業しましょう。
- 酸性の液体につき、周囲の金属製品や+プラスチック製品には付かないように注意。
- 塗布時間は数十秒~1分以内を目安にする。(重要)
- ステンレスには使わない。(ナイフのブレード部には不向き)
あまり長い時間塗布したままにすると逆効果でシミになりますので、作業は素早くお願いします。
塗布した後は、すぐに水でよくすすぎましょう。
残ったクスミを歯磨き粉で磨きます。
上の画像はシルバークリーナーリキッド塗布後になります。(左が ビフォア 右が塗布後)
すでに黒ずみがだいぶ落ちていますが、まだ若干クスミが残っている状態です。
再び 歯ブラシにて今度は「歯磨き粉」を使って易しく磨いていきます。磨き布ではなかなか磨けない装飾や取っ手部分はやはり歯ブラシによる磨きが綺麗になります。
金属磨きの材料は歯磨き粉以外にも販売はされていますが、結局のところ、微粒子による研磨による汚れ落としは同じなので、私は歯磨き粉で十分だと思います。
ただ、磨きすぎには注意します。
落とせないクスミがのこっている場合は、もう一度水洗い→シルバークリーナーを再塗布→水洗い→歯磨き粉で磨く をもう一回行います。
仕上げは シルバークロスでピカピカに磨きましょう。
歯磨き粉を綺麗にすすぎ、水分を拭き取ったらあとは、シルバークロスで磨いていきます。
様々なシルバークロスが販売されていますが、私は薄くて小さいタイプが使いやすく、
ある程度使ったら、すぐに取り替えて使うようにしています。
歯磨き粉での磨きで微細についたスレなども、シルバークロスで仕上げ磨きをすることで、スレが磨かれ、鏡面光沢が蘇ってきます。
クリーニング完了。ピカピカになりました。
画像は ビフォア → シルバークリーナー塗布 → 歯磨き粉で磨いた後 → シルバークロスで仕上げ磨きした後 と並べてみるとクリーニングの成果は一目瞭然ですね。これで気持ち良く飾ることができます!
銀の輝きを保つ為 黒ずみを防ぐ為には。
そもそも、銀の変色はなにが原因で起こるのでしょう。
それは「硫化反応」と「塩化反応」です。人の汗や空気中にわずかに含まれる「硫黄」に反応することで黒ずみ、塩素系の漂白剤なども大敵となります。
銀の苦手なものをまずは理解しておきましょう。
- 硫黄の含まれる物:化粧品、洗剤、輪ゴム、タマネギ、卵黄、温泉成分、入浴剤、ラップ
- 塩素の含まれる物:塩素系漂白剤、ドライクリーニング後の服、海水、
卵黄や、ラップなどは普通に食卓の近くにありますので、完全に銀を近づけないようにするのは難しいかも知れませんが、卵料理の後などは銀食器をすぐに洗うようにすることをおすすめします。
銀食器の一番のお手入れは「普段から使う」 これが一番大事!
大切な銀食器、普段使いをあまりしないでしまっておくことほどもったいないものはありません。
普段から使用することで、硫化した皮膜などもひどくならず、使用に伴う適度な摩擦によって銀は自然と磨かれていきます。せっかくの銀食器ぜひ、普段から食卓で活躍させましょう!
西洋では新品の銀の輝きよりも、使い込まれ、磨き上げられた銀の上品な輝きを「ムーンシャイン」と呼ばれます。代々受け継がれた手入れの行き届いた銀器が新品よりも価値のあるものと評価されるようです。
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