日常の中で、「本物」「上質なもの」、「一生物」の価値のあるものに触れていたい。
自分が飲食業で25年以上働いており、レストランサービスに接する職業柄というのもあったのかどうかわかりませんが、
いつしか自分で使う食器類にも 「本物の一級品に触れていたい」 そんなこだわりを持つようになってきました。 普段食事で使う、ナイフ・フォークなどのカトラリー類にシルバー(銀器)を使うようになり、暇さえあれば「銀を磨く」ようになってしまいました。。
家族からは若干変態扱いされるような感じで 銀器にのめり込んでいったのですが、銀器に触れれば触れるほど、その世界は奥深く、その「銀」の魅力について今回はお伝えしようと思います。
かつて銀器は「大切な役割」があった。
銀器はその歴史は中世ヨーロッパ ローマ時代にさかのぼり、多くの貴族が銀食器を愛用し、お抱えのバトラー(執事)により大切に銀器を磨かれていたようです。この時代 銀器は 「美と富の象徴」としてだけでなく、銀器を使う大切な役割があったようです。
その一番の理由は 食事に毒が盛られていないか確認する為 と言われています。
中世の王室や上流階級の生活のなかでは 毒殺の歴史があり、特に王位継承者に対する毒による暗殺が頻繁に起こっていました。
料理に青酸カリやヒ素化合物などの毒を混入された場合に、化学反応による銀の変色で 異変に気づく為の銀器を愛用されていたと言われています。
また貴族や上流階級の生活なので、大切なお客様を招待しての晩餐会などにも銀の食器を使用し、
「食べ物に毒は入っておりませんので、どうぞ安心してお召し上がりください」そんな意味もあったようです。
ただの贅沢品としてではなく、まさに命がけで銀食器を使っていたようです。
銀器は「美」と「富」の象徴。
銀は長い間放置しておくと、空気中の硫黄分と反応して徐々に黒く変色していきます。その為、銀食器をピカピカに光り輝く状態に保つには常に手入れをして磨いておかねばならないのです。
すなわち、ピカピカに光り輝く状態に銀器を保つ = 手入れする忠実な家臣がいる といういことにつながり、
「経済力」と「行き届いた躾」を誇示することもできたと言われています。
だから銀食器は貴族にとっては家宝として重用されていたんですね。
欧米には赤ちゃんに「銀のスプーン」を贈る ならわしがあります。「銀のスプーンをくわえてきた赤ちゃんは幸せになれる」という言葉にあるように、中世ヨーロッパでは「銀」は美と富の象徴として貴重な物でしたから、その銀のスプーンで食事をするような家に生まれてきた赤ちゃんは一生食べ物に困らないというのが由来のようです。 また銀には「魔除け」という意味もあり、お守りとしての意味も含まれています。
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銀器の美しい輝き 「ムーンシャイン」
銀器は使い込むほどに新品には醸し出すことができない淡く上品に光る輝きを放つようになります。
西洋では使い込まれた銀の上品な輝きを「ムーンシャイン(月の輝き)」と呼び、むしろ新品の銀器よりも価値があるものとして、銀器は親から子、そして孫の代へと受け継がれていく貴重な物だったようです。
銀は使わないで保管しておくだけでもすぐに変色してしまいます。ステンレス素材が100年ほどの前からカトラリーや食器の主流素材になり、使い勝手については 変色しないステンレス製の物が、お手入れも不要で楽だと思いますが、
私は 銀が手入れが常に必要なところも、銀の愛着を増す魅力だと感じています。
まだある!銀器が食器に使われる理由 「抗菌作用」「熱伝導率」
・銀の抗菌作用
「銀イオン」を最近耳にすることも増えてきましたが、銀イオンはバクテリアなどに対して、極めて強力な殺菌力を発揮します。他にも抗菌性の高い金属イオンは銅や水銀などがありますが、人体への安全性という部分では「銀」が優れた素材であると言えます。
狼男や悪魔を撃退する「純銀の弾丸」「純銀のナイフ」など物語で良く出てきますが、抗菌作用なども昔から知られており、特別な役割をもつ金属として 「銀」の特別な価値が評価されていたんだと思います。
・熱伝導率の良さ
つまり、「料理の熱が伝わるのが早い」ということです。
銀は熱伝導率が高く、すぐに料理と同じ温度になるので、「温かい物は温かく」「冷たい物は冷たく」、料理を一番美味しい状態でいただくことのできる、食器に相応しい優れた素材なのです。
まとめ 「銀」は やっぱり特別!
以上、まだまだ銀の魅力は語り尽くせない部分もありますが、銀の魅力をかいつまんでお伝えしてきました。
- 銀は王侯貴族の身を守る為の特別な役割が歴史的にもある。
- 銀はかつてから「美」と「富」の象徴であること。
- 金とは違う上品な銀の輝き「ムーンシャイン」
- 料理を美味しく安全に食べることができる。銀の「抗菌性」「熱伝導の良さ」
手入れは正直面倒に感じるところもありますが、そこもまた愛着につながる魅力です。
私は 家族に変な目で見られようと、また 銀を磨き続けようと思います。
銀の奥深い世界に あなたも足を踏み入れてはいかがですか?
「日常の中で、ほんの少し豊かな潤いを感じる。」
そんな一歩になるのでは。
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